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2005年10月 7日 (金)

THE WINDS OF GOD

今井雅之さんが、作・演出・主演を務めた舞台 THE WINDS OF GOD が、今月1日、千秋楽を迎えました。
3ヶ月間の長丁場でした。キャスト・スタッフの皆様どうもお疲れ様でした。
私は、7月16日、松本文化会館へ観に行きました。舞台に出演する役者さんからご招待を受けたのです。
舞台なんて、高校の芸術鑑賞会以来でしょうか。なにしろ、人中で定位置についていなければならないのが症状の関係上むずかしいので、席を確保するのにも色んな方々の協力が必要でした。まず会場に問い合わせ、そのあと主催者のFOB長野さん、誘っていただいた役者の方からも主催者側にお願いしていただき、後ろの席を確保する事ができました。大変ありがたかったです。

ストーリーを簡単に紹介します。
『アニキとキンタは売れない若手漫才コンビ。2005年8月1日、交通事故に遭った二人が目覚めると、そこは第二次大戦末期の1945年8月1日の日本。神風特攻隊員だった前世の自分にタイムスリップしてしまったのである。戦況が悪化する中、残り少ない戦闘機を使って、敵空母を撃沈するために飛び立って行く若者たち、平和な時代を生きていたアニキとキンタには、理解できない世界だった。
アニキを岸田中尉、キンタを福元少尉と呼ぶ特攻隊員たちは、二人を記憶喪失だと信じ、必死に記憶をよびさまそうとする。
突然突きつけられる「死」という現実。ある者は任務に忠実であり、ある者は神に祈り、ある者は心に奥に疑問を抱きつつ、それでも一人また一人と散って行く。過去と未来の狭間で運命に翻弄され、己の無力さに歯がゆさを感じる二人。ついに二人にも零戦に乗る日がやってきた。はたして、アニキとキンタの運命は・・・。』

舞台は、アニキとキンタの漫才シーンから始まります。プロの漫才師のような、コンビネーションのよさで観客は大笑い。その土地土地にあったローカルネタを随所に織り交ぜたり、遅れてきた観客に向かってツッコミを入れたりと、アットホームな雰囲気にいつのまにか引き込まれていきます。

タイムスリップ後は、未来から来たアニキとキンタと隊員たちの会話がかみ合わなくて笑ってしまう部分があるのですが、二人が状況を把握し始めると一転します。”命”とは”平和”とは・・・戦争の時代を知らない我々に訴えかける、切ないシーンになります。隊員たちのなかには、私よりも若いまだ10代の人もいるわけです。愛国心を胸に、愛する家族、恋人を守るため、若者たちは命もろとも敵艦に突っ込んでいきます。海へ空中へ、命は散ってゆきました。
以前、特攻隊のドキュメントをテレビで見たことがあるのですが、旅立つまえ、家族にあてて想いを綴った遺書が写りました。のりがないかわりに、自分の血糊で封がしてありました。
私が舞台を鑑賞して感じたのは、いつの時代も”愛”が存在し、想像もつかない過酷な状況の中で厳しい訓練を受けた隊員でさえ”死ぬのは恐ろしい”ということ。そして”いつの時代も若者は葛藤しもがき苦しんでいた”ということです。平和な時代の中でしか生きることのできない私は、過去の戦争の時代に生きることはできません。しかし、戦時中の心身ともに追い詰められた人間が生き抜く逞しさ、つまり自分の前世が、この血の中にも流れているのではないか。そう考えた時、前世からずっとつながっている命を大切にしたいと思うのです。
周りの隊員たちは様々な想いを抱きながら死んでゆきました。アニキとキンタも2人一緒に零戦に乗り込みました。結局キンタは死んでしまいました。
そして、現代に戻ります。アニキが回想しているシーンは、キンタとの友情の深さを教えてくれます。

大掛かりな舞台セットはなく、シンプルなつくりだったので、役者それぞれの存在感がありました。
役者さんたちは、この舞台に備え自衛隊に体験入隊しました。舞台中もオフの日でも『肉錬』とよばれる厳しいトレーニングに励み、体を鍛え続けていたそうです。ハードな動きもたくさんありました。本物のように、隊員全員の動作がビシッとそろっていたのは素晴らしかった。2000席ある大きいホールの一番後ろの私にも、しっかりと声が届き、役者さんの息を切らす音が聞こえてくるようでした。

終了後はスタンディングオベーション。感動と涙に包まれ拍手が鳴り止みませんでした。
主演の今井雅之さんが、声を枯らして挨拶をしました。
「この舞台は17年前に初演され、2001年を最後に終了させようとしていたが、そんな矢先、9・11アメリカのテロ事件が起きた。新聞紙上でKamikaze Attackと表現されたことが非常に悔しかった。年々色褪せるべき作品なのに、逆に世の中がこの作品に近づいてきている」と再演に至った経緯を語りました。
挨拶の終わりに「No More War」と叫んだ自衛官出身の今井さんのお言葉は、言葉では言い表せない重みがあります。

舞台終了後、スタッフに案内されながら差し入れを持って楽屋に行きました。招待してくださった役者さんに挨拶をし、握手をして別れました。
お忙しい中、お会いしてくださり、ありがたかったです。心の波動が伝わりました。今年の夏、最高の思い出です。心から感謝しております。
エルトンジョンのYOUR SONGを聞く度に、7月16日が頭の中によみがえります。

ドラマ版は先月、終戦60年ドラマスペシャルとして放映されました。来年には、映画も公開されるそうです。 

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