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2006年1月12日 (木)

とある青年

青年と言っても私より年上で20代後半から30代前半と言ったところか。
出会ったのは3年前。プロレス会場の入り口で開場時間を待っていたときだった。隣にいた私の母に青年が話しかけてきた。初対面なのに親しみのある口調だった。普通の会話だったら「寒いですね」とか「開場まだですかね」などと話しかけるものだが、唐突に「今日の試合はいいですよ」から始まって次々と薀蓄を語りだした。母には理解できない内容だと察知した私は、母の代わりに相槌を打ち続けた。年寄りより若い娘のほうがいいのか、青年の表情はパッとかわり、さらに語り続けた。咄嗟にこの方はファンというより「オタク」だと思った。
世間一般がもつオタクのイメージはマイナス面が目立つ。
(電車男が終わってから、オタクの見方は変わってきただろうか)
私はそういった先入観をもっていない。むしろ、瞳を少年のように輝かせ生き生きと語る青年に引き込まれていった。

会場に入り、席につくと、青年が遠くから私たちの姿を見つけ、手を振っている。年上の男性へ抱くのは失礼だが「可愛い人だなあ」と思い、私は笑顔で頷いた。
試合が終了し、会場を出て、階段をおりた下の玄関で、私は誰かに肩を叩かれた。青年だった。彼は私たちが来るのをずっと下で待っていてくれたのだ。
「試合良かったですね」と話しかけると青年は感想を話してくれた。
「気をつけて帰ってくださいね。次回は僕の地元に来ますからまた来てください」と言い残し青年は帰っていった。知らない男性に警戒した母は、苦笑いを浮かべながら後半のほうは軽く聞き流している様子だった。

その後も何回か会場でお会いした。
私を見つけると「おっ!○○ちゃん」と声をかけてくれる。要領を得ない会話が多いが、基本的に礼儀正しい好青年である。最近になって連絡先を交換し、初めの頃は毎日のようにメールが来た。私は、彼がどんな人か職業も家族も知っているので警戒はしていない。
メールの文面も会話と同じで要領を得ないところがあるが可愛らしい。でも凄く尊敬している。細かい話もするようになり、身体を気づかってくれるようにもなった。
「本当に寒いのでお身体を大切にしてくださいね」
毎回文面の中に決まり文句のように入っている。一昨日もそうだった。
ふだん子供たちを相手にしているだけあって、言葉づかいが優しい。私が小学生の頃は、ほとんど「おねえさん」だったのでこんな「おにいさん」がいたならばまた違っていただろう。

その人にオタクと言ったら、もしかしたら怒られるかもしれない。でもやっぱりそうだよな。収入のほとんどはプロレスに費やしているから。
私はオタクという言葉や人に魅力を持っている。それは歩く教科書であり、先生であるからだ。
かく言う私も非常に凝り性で、一つのものにハマったらとことん熱中するタイプである。オタクの域に達しているかもしれない。

彼は大切な友人の一人である。
さて、今夜もメールが来るのでしょうか。


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コメント

  プロレスが結んだ縁、良いですね。ユーモアを交えながら、青年への暖かな目線が描写されていると思います。

 同好の士と出会うと、嬉しくてついペラペラ話しちゃうんですよね。私もそういう経験があるから、分かる気がします。

投稿: 諸星ノア | 2006年1月14日 (土) 10時48分

感想を言っていただいて嬉しいです。

友人になるきっかけってちょっとしたことですね。どこに縁が転がっているか分かりません。
お話を聞くのは楽しいひとときです。

投稿: たかこ | 2006年1月14日 (土) 16時53分

そういうのを「良い男」って言うんだろうね。稼いだ金も全部プロレスに使ってしまって将来設計のない男だ!という人の顔とは対照的なんだろうな。

投稿: gigababa | 2006年1月14日 (土) 21時02分

プロレスにお金を使って、他の事にはあまり関心がないようです。
でも、なんでも生きがいがあるといいですね。

投稿: たかこ | 2006年1月14日 (土) 23時50分

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