福祉タクシー
先週、心の病・精神障がい者の当事者会に参加した時に、60代の男性が発した言葉が胸に刺さりました。
「(こういった田舎で)車を持っていないことは死を意味する。(病院に行けないわけだから)死ねってこと」
60代男性は、山方の集落に住んでいます。
歩いて行ける範囲に商業施設も病院もありません。
年金生活者です。彼は、親戚とも、近所ともうまくいってない。しかも、ひとり暮らし。
身寄りがいません。
参加した人たちは、無料で過ごせる高齢者・障がい者福祉施設があるので、孤立しないように定期的に通うよう提案しました。
車を買い、維持費を払っていくのも、彼にとっては困難なことでしょう。
電車も走っていない地域です。
私自身も、過去にどうしても病院へ行けなくなってしまったことがありました。
友人や親戚は、病気のことは多くは知りません。
しかし、病院は車でも遠い距離にあり、分かりづらい場所にある。当時、束になるような薬の種類と量を処方されていた。
一番気になったのは、病気のことを親しい人に知らせて心配させること。混乱させるのではないかということ。
それに仮に薬を受け取りに行ってもらっても、「こんなに薬を飲んで、そんなに悪いのか!一体どうしたんだ!」と問い詰められること。
そのときの私は、そんなことで頭が一杯で2年ほど飲み続けた薬を2週間切らしました。
突然、薬を止めると、おそろしい症状が待っています。
副作用よりも大変だった。
2週間、断薬したことにより、眠れない。2週間という期間、寝た覚えがない。
白目が毎日、赤味がかっていた。
自律神経系がおかしくなり、異常にだ液がふえ、消化液も増え、胃の中がちゃぷちゃぷ言う。ここには載せられませんが胃腸の働きが大変なことに。他の機能もおかしくなっていたでしょう。
町の保健婦さんに依頼して、薬をもらいに行ってもらい、私は命拾いしたといっても過言ではありません。
今の病院は、幸いにも、外出困難な場合、電話で医師と受診すれば、薬を郵送してもらえます。
副作用も恐ろしいですが、長年服用し続けた薬を突然やめるのは、このように危険なことなのです。
私の家は、徒歩5分以内にスーパー、コンビニがあります。飲食店もドラッグストアもホームセンターなどもあります。
人間、生きていくのに必要な衣食住は約束されていました。本当に幸いにも。
しかし、病気や障害があり、山間部に住む人で外出困難な人(心の病など、引きこもりや対人恐怖にある人)は、交通手段がないと大変なことになります。死活問題です。
まさに、冒頭の60代の男性が発したように
「車に乗れないのは死を意味する」のです。
最近、「福祉タクシー」「介護タクシー」
といって、そんな交通手段がない方々のために、通院・買い物・旅行等に使ってもらう、タクシーがでてきました。
私の近くの会社では初乗り10分まで、1050円、5分増すごとに500円。
特定の総合病院までは、定額で4450円です。
介助者は送迎代無料。当事者で障がい者手帳を持っている人は提示すれば、1割引になります。
高いお金だともいえます。安いお金だともいえます。
だからといって、救急車を呼ぶのは・・・。いま問題の、本当に緊急を要して、生死を一刻も争う人にとったら大変なことになります。
「福祉タクシー」「介護タクシー」の登場。
便利になったでしょうか。
でも、まだあることを知らない人も多いでしょうか。
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